欧州の自転車推進政策

コンテンツ
・はじめに
・研究報告書

欧州の自転車推進制作パート1
欧州の自転車推進制作パート2

・映像報告

・プロフィール

はじめに
日本の自転車のモーダルシェア(代表的交通手段に占める割合)は、全国平均で12%、大都市の東京23区や大阪市でもそれぞれ17%、23%と、欧州の指標全体の平均値である7%を上回る。欧州の自転車先進国のオランダ、デンマークには劣るものの、ドイツ、ベルギー、スウェーデンなどの自転車利用の多い国などと比べても遜色はない。

日本の隠れた自転車利用の高さは、公共交通機関の利便性の良さ、独特のママチャリ文化、自転車が安価に手に入るなどの要因によるものである。しかしながら、そうした利用度の高さに、自転車の利用環境整備が追い付いていない。特に自転車の道路交通システムにおける位置づけが曖昧で、例えば、左側通行で車道を走行するという基本的なルールさえ浸透していない、またそれを促すための自転車用道路などのインフラ整備が進んでいない。(東京都では2012年時点で自転車用道路は100kmほどしかないが、パリでは440km、ベルリンでは450km、ロンドンでは680km、ブリュッセルでは150km)。また、駐輪場整備についても利用しやすいところに設置されておらず、人々の自転車利用の環境や健康面でのメリットが浸透していないなど直面する課題は多い。

一方、オランダ、北欧諸国、ドイツ、ベルギー(北部)は、自転車の利用環境の向上および利用促進の取り組みにおける世界的リーダー的な存在である。また、他の欧州諸国(英国、フランス、イタリア、スペイン)もこうした北部諸国に追いつくための様々な施策を急速に進めている。これらの欧州の取り組みについては、長期的な環境目標の設定、加盟国や地域を超えた情報共有の仕組み、アドボカシ―団体への活動支援に加え、地方自治体ごとの積極的な目標設定と計画実施などがあり、日本が参考にできるところは数多くある(また欧州が日本から学ぶべきところもある)。

上記の問題意識に基づき、本報告書は、欧州における自転車利用推進政策を概観し、EU及び加盟国政府の具体的な取り組み(自転車用道路や駐輪場などのインフラ整備、財政政策を通じた奨励策、安全対策、教育・啓発キャンペーン)について紹介する。特に欧州全体を代表する取り組みといえる、ベルギーの2都市における自転車推進政策のより詳細な成果や課題を掘り下げた上で、最後に日本に向けた示唆をとりまとめている。

なお、本報告書の作成のため、ベルギー・ブリュッセル首都地域政府、ベルギー・ゲント市の自転車政策の担当官、欧州最大の推進運動(アドボカシ―)団体である欧州サイクリスト連盟の担当者へのインタビューを行った。本報告書の情報源についてはできるだけ記載しているが、特段の記載がない場合にはインタビューによるものとする。

研究報告書:

PDF 欧州の自転車推進政策パート1
目次:
1:欧州の自転車利用推進政策
1.1:先進国に共通するピークカー現象(自動車離れ)
1.2:EUの環境政策枠組み
1.2.1:気候変動対策
1.2.2:大気汚染改善策と新車からの排出ガス規制
1.3: EUの自転車政策
1.3.1:EUで実施中の包括的なプロジェクト及び法案
1.3.2:EUレベルでのアドボカシ―団体
1.3.3:欧州モビリティーウィーク

2:加盟国の自転車政策
2.1:加盟国における自転車の利用状況
2.2:加盟国の自転車政策
2.2.1:加盟国による自転車政策の国家計画
2.2.2:自転車関連のインフラ整備
2.2.3:自転車通勤促進のための奨励策
2.3:欧州内の自転車事故による死亡者・負傷者の統計
2.3.1:死亡者数•負傷者の統計
2.3.2:自転車保険
2.4:自転車に関する規制・安全対策
2.4.1:自転車の車両に関する規定(特に反射器材及びヘルメット)
2.4.2:自転車の交通ルールに関する規定


PDF 欧州の自転車推進政策パート2
目次
3:欧州都市の事例―具体的な成果と課題―
3.1:ベルギーの事例
3.1.1:ベルギー・ゲント
3.1.2:ベルギー・ブリュッセル
4:日本への示唆


映像報告

PDF 映像報告用資料:欧州の自転車推進政策


欧州の自転車推進政策 第1部

内容:
I. 欧州の自転車推進政策の背景
II.EUレベルの自転車推進政策
III. 加盟国レベルの自転車推進政策

欧州の自転車推進政策 第2部

内容:
IV. ベルギーの事例
V. 日本への示唆

執筆者
小串聡彦
 小串聡彦
スウェーデンのウプサラ大学大学院政治学修士号取得、欧州議会で研修生として勤務後、ブリュッセルの日系調査コンサルティング会社で働く。現在、日本でEU政策動向に関する研究活動に従事

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